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FF7リメイクが示す可能性

2020年春に発売された『FF7 リメイク』。2022年夏にはその続編『FF7 リバース』『CCFF7 リユニオン』の発売が報じられ、FF7関連の物語が一つの大きな作品として締めくくられようとしている。

本記事では、『FF7 リメイク』が提示する物語の可能性、加えて物語の主題とは何かを考察していく。

 

 

(以下、FF7関連作品のネタバレあり)

 

 

【目次】

 

 

 

FF7 REMAKE』の立ち位置

FF7 REMAKE』はどのような物語であったのか。

 

原作FF7における一連の出来事、登場人物の心情やその関わりを、濃密に描き直した物語。そして、原作とは異なる新たな可能性を示した、”運命に抗う”物語。

 

 

運命に抗う上で、登場人物の中には原作とその関連作品の記憶を持ち、各々の目的のもと、本来の筋書とは異なる未来を掴もうとする様子も見られた。

 

運命に抗うという表現がなされている以上、我々プレイヤーが『FF7 REMAKE』を真に理解するには、”運命”という名の「本来の筋書」、原作とその関連作品の物語を把握しなければならないのである。

FF7 REMAKE』は、原作とその関連作品ありきの物語である、ということだ。

 

 

このことから、『FF7 REMAKE』の物語とは、

原作FF7の持つ世界観の解像度を上げた物語、加えて、
原作FF7やその関連作品の物語を踏まえた、FF7集大成の物語

その一端と言うのが妥当であろう。

 

 

 

 

FF7 REMAKE』の示す可能性

それでは、FF7終結させる物語の一端として、『FF7 REMAKE』はどんな可能性を示しているのか。

FF7 REMAKE』は、定められた運命に抗おうとする者によって動かされる物語。
ここでいう可能性とは、運命に抗う者が思い描く未来だと言える。

 

 

では、作中にて”運命に抗う者”として描かれている人物、セフィロスとエアリスそれぞれが思い描く未来とは何か。

 

それが最も表されているのが、『FF7 REMAKE』最終決戦前後の両者の言葉であろう。

 

 

セフィロスは星の命運を操ってまでの生存。
エアリスはセフィロスの野望の阻止、すなわち星と命本来の在り方を守ること。

両者の目的は相反するものであるが、各々の目的の達成のために両者ともにクラウドの力が必要だと断言している。

 

クラウドの可能性無しには、『FF7 REMAKE』の示す可能性を語れない、というわけだ。

 

 

 

 

クラウドの可能性

本来の筋道、運命に抗おうとする物語の中で、クラウドどのような状態にあるのか。

この可能性も同じく『FF7 REMAKE』最終決戦とその前後にて、明確に示されている。

 

クラウドセフィロスを追いかける意志を明確にしている。

しかし彼は、エアリスと目的を同じくしているようで、FF7本来の筋道に抗う様子もなく、星の危機を救うというより己の憎悪をセフィロスにぶつけることが一番の目的となっているように見られる。

 

 

すなわち表面上の状態としては、原作FF7の状態となんら変わらない、ということだ。セフィロスコピーとして、盲目的にセフィロスの幻影を追いかける人形に過ぎないのである。

 

事実、原作のオマージュであろう“世界の先端”での戦いでは、セフィロスに勝つことはおろか、軽くいなされてしまう様子が描かれた。

原作において、己の中のセフィロスに打ち勝ち本当のクラウドを取り戻したことを明確に示すあのシーンが、再び『FF7 REMAKE』のような形で表現された。このことは、今後クラウドセフィロスの支配に苦しめられ翻弄されることを示唆しているように思われる。



 

1.セフィロスコピーを利用する存在

運命との戦いの前後にて、本来の筋道を知っている様子を見せたセフィロス。原作と同じ目的を掲げているが、クラウドを利用するその過程において、原作と同じ轍を踏みに行くという可能性は低いだろう。

原作FF7アドベントチルドレンを経て明らかにされた2人の”絆”を、セフィロスはどう利用するのか。
セフィロスコピーとしての仕事は、黒マテリアを手に入れ届けるのみに留まらないのかもしれない…。

       

 

2.セフィロスコピーから開放する存在

一方、原作FF7において、セフィロスコピーとして苦しむクラウドを助けた重要な要素として「仲間の存在」がある。この「仲間の存在」は、原作FF7の重要テーマの一つとも言っても過言ではないだろう。

運命のしがらみから逃れた『FF7 REMAKE』に続く物語は、原作FF7とはまた異なる新たな仲間の助力が期待できそうだ。

 

特に、運命のしがらみから逃れた「自由」な世界、それがどういったものなのかを一番に語るのがザックスの生存であった。

セフィロスセフィロスコピーを止め得る力を持ち、セフィロスコピー計画の真実に迫るこの存在が、いかにして『クラウド』を救うのだろうか。

 

 

 

3.セフィロスコピーに打ち勝つ存在

セフィロスに翻弄され続け、さらにコピーとしての自覚がないクラウド。しかしこれは表面上の話で、『FF7 REMAKE』の世界でのクラウドは、本来の筋道に関する記憶や想いを、意識の底に抱えているように描かれている。

       

 

表にでているセフィロスコピーは原作FF7と同じものと言えるだろう。だが、その内に眠る「本当のクラウド」は、原作とは異なる存在なのではなかろうか。

 

原作において、クラウドは本当の自分を取り戻し、星を救った英雄となった。
今作における『クラウド』は、本来の筋道に関する記憶や想いを持つクラウドは、いったい何を目指すのか。

 

 

 

 

FF7 REMAKE』の主題

原作FF7を踏まえた、終結の物語『FF7 REMAKE』。その終結とはいったい何を目指したものなのか。

 

 

ここで私が注目したのは、スクエニが提示した『FF7 REMAKE』の主題歌、クラウドの秘めたる想いを綴った歌Hollowである。

 

 

この主題歌には、リメイクの世界では明確に形に表されることの無かったクラウドの後悔と意志が表されている。
それは、大切な人を救えなかった後悔と、「次こそは必ず守ってみせる」という意志だと言うことができよう。

 

すなわちこの「Hollow」という曲は、かつての星の英雄クラウドの想いを綴ったものだと捉えられるのだ。『FF7 REMAKE』のクラウドの中には、確かに”星の英雄クラウド”の人格が眠っている、という表れであろう。

 

 

* * *

 

では、この主題歌を背景に持つ『FF7 REMAKE』の物語は、我々に対し何を示しているのか。『FF7 REMAKE』とそれに続く物語の主題とは何か。

 

原作FF7が、クラウドが本当の自分を取り戻し自らの“けじめ”として星を救う物語であるのに対し、

FF7 REMAKE』とそれに続く物語は

クラウドが本当の自分を取り戻し、「かつての星の英雄」が守りたく守れなかった自分にとって大切なものを守るため星を救う物語

となることを示しているのではないだろうか。

 

 

 

 

原作FF7を現代の技術をもって蘇らせた物語ではなく、今までに繋がるクラウドの再挑戦の物語と捉えられるこの物語。
はたしてどのような結末を迎えることになるのか。

多くの歴史を刻んできたFF7全体の集大成として、スクエニがどのように『FF7』を再解釈しどのような形におさめ我々に届けるのか、見届けることのできる日が楽しみでならない。

 

 

 

 

 

ー以下感想などー

 私がFF7を評価している点の一つに、その旅や戦い(=人生)の目的が大義名分という形で片づけられたものでない、という点があります。

 


 FF7において、クラウドたちは旅の序盤「星を救う」ことを戦いの目的としていました。やがて彼らは、道中の出来事や様々な人々との出会い・考えに触れ、結局は「自分のため」に戦っていたことを自覚、再決意します。

 

 ここで言う「自分のため」とは、自分の中にある”大切なもの”を守るため。そして、”大切なもの”というのは、何気ない人生の中でのかけがえのない存在、かけがえのない役割を果たすもの

 

 

 原作FF7にて、大切なものを守れなかった”星の英雄”クラウド。一時であっても彼の生きる時間を彩った、かけがえのない存在を失ったクラウドは、満たされない想いを抱えながら生きることになる。
Hollow」という主題歌は、クラウドのこの”空っぽ”の心、満たされない想いを何とかしたいという悲痛な叫びなのではないか、と考えています。

 

 「俺たちが乗った列車は途中下車できないんだ」。この人生でどんなことが起ころうと、我々は生きて前に進まなければいけない。心の弱い自分を認め乗り越え、傷を抱えながらも生き、己の責任を全うする。

 原作FF7がそんなクラウドの内面を描いた物語であったからこそ、クラウドの中に残されることなった「空っぽの心」。スクエニはその集大成、リメイク制作にあたって、その決着に目を付けたのではないでしょうか。
 やはり『FF7』という大きな作品は、一貫して自分のための戦いを描く物語になるのだと思います。

 

 

 誰かが作り上げた目的ではなく、自分のために、だからこそ責任を持って生きる。世代を超えたそんな人生の在り方や問いかけが、FF7集大成の一端に見え隠れしているように思うのです。

 

 

 

 

 

最後までの閲覧ありがとうございました。